デジタルって何?
デジタル技術なんて今に始まったモノではない。
コンピューターというやつが私たちの社会に蔓延し始めた頃から、それまで培って来た技術は「アナログ」と分類され、これからは「デジタル」の時代でアナログは過去のモノのように扱われてきました。
デジタルとアナログ…今でも多くの人がこの2つの言葉から連想するのは、1982年日本で初めてコンパクトディスク(CD)が登場したのを皮切りに音楽メディアがアナログ方式のカセットテープからデジタル方式のCDへと移り変わっていった激変のシーンでしょう。もっと正確に言うならばテープ以前の音楽媒体では、円盤(ディスク)の溝に刻まれた凸凹で振動する針の動きを音に変換するレコードという手段が全盛でした。特にレコードが登場した初期の再生機器「蓄音機」は針と振動板が一体となっていたので(挿絵)、糸電話同様デジタルが一切介在しない正にアナログそのものでした。それと比較すればレコード以降は音を増幅するためのアンプなどにデジタル技術も使われていた訳で、純粋なアナログではなかったと言うこともできるのですが、長くなってしまうのでこの辺で…。
さて、今やアナログは過去のもので時代遅れ、デジタルは万能のようにもてはやされ崇拝している人が大多数を占めているように感じます。中にはデジタルという言葉自体に恐れをなしている方々もおいでのようですが、次の記事を読んでもらえば「なぁーんだ、デジタルなんてたいしたことないな」と感じてもらえるはずです。
音楽メディアにしろコンピューターにしろ、私たち人間というアナログな動物のための道具に過ぎないのです。極言すれば「デジタルはアナログのためのツール」。
デジタル恐るるに足らず。デジタル技術の仕組みは拍子抜けするほど単純。
デジタルの仕組みを一言で分かりやすく説明するなら、モールス信号に例えるのが理解しやすいと思います。インディアンが通信手段として使っていたあの狼煙の煙(日本でも二千年前から使っていたそうですね)を電気信号に置き換えただけのこと…です。挿絵の様にトン・トン・ツー・トーーンって感じですね。さらに煙の色を使い分けることで驚くほど複雑な情報も伝達することが可能でした。
近代においても電信と呼ばれて電報の伝達手段として長期にわたって使われ、現代社会では誰もが毎日目にするバーコードというやつも全く仕組みは同じ。つまり、オン・オフ(煙が上がる上がらない)の使い分けを情報伝達手段としているに過ぎません。一本の光ファイバーの中に何色ものレーザー光線を流し、回線数を分離して利用するという最新の大容量通信インフラの考え方が狼煙の原理と同じだなんて実に面白いですね。
先に触れた「バーコード」や「QRコード」というのは一番単純なデジタル技術でしょう(挿絵)。左は「白鶴まるパック」の商品パッケージのバーコードをイラストレーターを使って1時間ほどで試作したものですが、規格に沿って作ってみたところスマホ等のバーコードリーダーで読み取ることが出来ます。スーパーのレジで読み取れば商品名と販売価格が表示されるはずです。ウィキペディア等によると1949年にアメリカの大学院生が発明し1952年に特許を取ったと記載されています。日本で普及するきっかけを作ったのはセブンイレブンで、1984年納入業者にバーコード添付を依頼したのが始まりのようです。
右側もすっかりお馴染みの「QRコード」ですが、こちらはアルファベットと数字しか表すことのできないバーコードとは違い、なんと日本語までも伝達できる能力を備えています。紙媒体や看板などに印刷し、携帯端末で読み取って特定のホームページへ誘導する…という用途が一番多いように思います。見本は私どものホームページアドレスを記載してありますが、わずかな面積にこれだけのアドレス情報を記載し間違いなく読み取るという芸当はバーコードでは不可能です。この優れた発想は欧米圏では有り得ないもので、複雑な言語を操る日本人だからこそ実現できたと思います。QRコードの公開特許を持っているのは、ご存じ自動車関連企業のデンソーウェーブさんです。
ご注意! 携帯用QRコードリーダーの製造元を確認しましょう。携帯端末にはあらかじめバーコードリーダーがメーカー純正でインストールされているはずですが、ここ数年に出荷された端末の中にはバーコードリーダーが入っていないものも出回っています。カメラに伝導しているものもありますのでチェックしてみて下さい。新たにインストールする際には本家デンソーさんの「クルクル-QRコードリーダー」を使った方が安全でしょう。くれぐれも無料とか今だけ特典につられて訳の分からない中国人が仕掛けていると思われるアプリをインストールすることのないように願っています。(後始末が大変なことになります(-_-;))
